日本橋三越本店 「クリスマス」ショウウインドウ 壁画

日本橋三越本店の「クリスマス」ショウウインドウの制作に参加させていただくことになった。

毎年クリスマス用のウインドウディスプレイは各店ともよりいっそうの力が入るわけだが、今回はデザイナーからの熱い要望もあり、いつにもまして燃える仕事となった。なにより、格調高い老舗中の老舗百貨店である三越本店のウインドウを飾るというのは、とても光栄で幸せな仕事である。

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日本橋三越本店 「クリスマス」ショウウインドウ 2009

今回の作品はアニマルドール作家・芦塚葉子さんによるアニマドール達とのコラボレーション。幻想的で巨大な3D絵本のような世界が4面に渡って展開されていく。

商品の展示をなくし、あくまで物語的で情景的な風景のみを展開するという思い切ったデザインはディスプレイデザイナー宮原 清氏によるもの。

「クリスマスだからキラキラ・チカチカ」という定番をあえて避け、「吸い込まれるような森の静謐さのなかにひっそりとたたずむと白いツリー」と「その森に息づく動物達の静かなささやき」で構成される大人のファンタジー空間は、光と音の演出とともに不思議な次元へと誘い込まれる。

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日本橋三越本店 「クリスマス」ショウウインドウ 左から

ご覧になった方はあまり感じなかったかもしれないが、今回制作した絵の面積はけっこうデカイ。4m x 3mほどのガラス越しから覗くウインドウの中はひとつの大きな空間になっていて、その全長はなんと21m。1ヶ月という展示期間を考えると、高さ3.6mの壁が21mも続く広大な背景を全面にわたって手描きの壁画で埋め尽くすというのは贅沢な挑戦だった。「小さな原画を描いて印刷で拡大」という最近の手法はあえてとらず、「原寸キャンバスに直描きで行こうよ」と提案したのは私だった。

手前に並ぶ切り出し達もアトリエで見ていた時は巨大だったなあ。

結果的に直描きという選択は良かった。大きな画面になると、やはり絵の中の細かい空間作りなど描いてみて始めて見えてくる部分も多く、特に目線の位置の違いから来る印象や臨場感は絵の前で体感しながら描くほうが良い。